国内の水族館で初めて公開した、完全養殖のクロマグロの稚魚が全滅してしまったことがニュースで伝えられています。
日本はクロマグロの9割を消費している、世界一のマグロ大好き国ですが、天然のクロマグロの量はどんどん減ってきています。そのため、他の魚と同じく完全養殖を目指している魚でもあります。
では、なぜ今回水族館で育つはずだった稚魚が全滅してしまったのでしょうか、詳細を紹介しましょう。
水族館の養殖マグロ全滅 原因は水質の変化?
青森の浅虫水族館では、国内の水族館として初めて完全養殖のクロマグロの稚魚を公開していました。
大分県にある日本水産中央研究所海洋センターから提供されたのは3000匹でしたが、それが大量死してしまい、最後に残った1匹も様子がよくないということで展示をやめていましたが、それも29日に水槽の底に沈んでいる姿が確認されました。
展示開始が2019年8月11日(日)で、展示終了が2019年9月29日(日)なのでわずか、1カ月強(約50日)の期間でした。
水族館によるとその原因は水質の変化だろう、ということです。
この個体は餌をよく食べ、体長が約30センチでした。唯一残った稚魚だったため、水族館は様子を注視していたようです。
以下は浅虫水族館で2019年9月23日に公開された、完全養殖のクロマグロの様子の動画です。
(最後の一匹の最後の動画になります)体長は現在およそ28cm。
23日までは元気に泳いでいるように見えますね。
水族館の養殖マグロ全滅 マグロの養殖はむつかしいの?
マグロは今太平洋において、深刻な資源危機にさらされています。そのため、消費大国である日本では完全養殖を目指し、1970年代から研究を始めています。
マグロは赤ちゃんの時の生態がほとんどわかっておらず、かなりデリケートな生き物であり、ちょっとした変化ですぐに死んでしまうのです。
最初のうち、卵から稚魚になるまでの生存率は何と0.1%でしたが、現在はその数字を10%まで高めることが出来ています。それでもふ化した生まれたてのマグロは、最初の10日間で酷い時には8割や9割が死んでしまうわけです。
原因は判明するたびに潰してきましたが、それでも中々育たないのですね。
畜養と完全養殖
現在の日本で行われている養殖は、完全養殖ではなくて畜養といわれる方法です。畜養は、海で釣ったマグロの幼魚を生け簀の中で3年ほど飼育して成長させ、美味しい状態になった時に出荷する方法です。
対して完全養殖は、海でつった天然マグロを飼育して産卵させ、人工ふ化で育った親魚が生んだ卵をもう一度ふ化させることをいいます。
この方法であれば、天然のマグロ資源を使うことはなく、危機にあるクロマグロの捕獲を減らすことが可能なのです。
今回、青森の水族館ではこの残念な結果を経験として、次はもっとうまくやる、と飼育員たちの決意も強まっているようです。
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